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不動産の相続対策、生前贈与か現金化か?「持ち戻し7年」ルールの注意点を税理士が解説

2026-06-13

税金・節税

不動産の相続対策、生前贈与か現金化か?「持ち戻し7年」ルールの注意点を税理士が解説

不動産の相続対策を考える際、「生前贈与しておくべきか」「売却して現金にしておくべきか」で悩む不動産オーナーは多くいます。生前贈与にかかるコストや、相続開始前の贈与を相続財産に加算する「持ち戻しルール」の最新の注意点を税理士が解説します。

不動産を所有している方が相続対策を考える際、「子どもに今のうちに不動産を渡しておくべきか(生前贈与)」「売却して現金に換えておくべきか」で迷うケースは多くあります。どちらが「お得」かは、物件の状況や相続人の数、納税資金の見通しによって変わります。本記事では、不動産オーナーが押さえておきたい相続対策の基本的な考え方と、近年改正された「生前贈与の持ち戻しルール」の注意点を解説します。

相続対策で考えるべき3つの視点

不動産の相続対策は、以下の3つの視点で整理すると考えやすくなります。 ・節税:相続税・贈与税の負担をいかに抑えるか ・納税資金:相続税を納めるための現金をどう確保するか ・分割:複数の相続人がいる場合、不動産をどう分けるか(または分けずに済ませるか) 「不動産をそのまま残す」「生前贈与する」「売却して現金化する」のいずれを選ぶかによって、この3つのバランスが大きく変わります。

選択肢①:生前贈与で不動産を渡す

不動産の贈与にかかるコスト

生前贈与には、不動産を計画的に次世代へ移転できるメリットがありますが、贈与時には相続よりも税負担が重くなりやすいという側面があります。 ・贈与税:年間110万円の基礎控除を超える部分に課税(税率は相続税より高めに設定されているケースが多い) ・不動産取得税:贈与による取得は3〜4%の不動産取得税が課税されます(相続による取得は不動産取得税が課税されません) ・登録免許税:贈与による所有権移転登記は評価額の2%。一方、相続による移転登記は0.4%と大幅に低くなっています このため、「不動産は生前贈与より相続のほうが、登記・取得にかかる税コストは低い」のが原則です。生前贈与を検討する場合は、贈与税だけでなく、これらの付随コストも含めて比較する必要があります。

相続時精算課税制度という選択肢

生前贈与の方法の一つに「相続時精算課税制度」があります。これは、生前に贈与した財産を相続時にまとめて相続財産に加算し、相続税で精算する制度です。 令和6年からは相続時精算課税にも年間110万円の基礎控除が新設されました。この基礎控除内の贈与であれば、相続財産への加算も不要となり、生前贈与のハードルが下がっています。ただし、相続時精算課税を選択すると、その後は通常の贈与(暦年贈与)の基礎控除(年間110万円)には戻れないため、選択は慎重に行う必要があります。

「生前贈与の持ち戻しルール」に要注意:3年から7年に延長

旧ルール:相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算

これまで、生前に贈与した財産であっても、相続開始前3年以内に行われた贈与は、相続財産に持ち戻して相続税の計算に含めるというルールがありました(生前贈与加算)。「亡くなる直前に慌てて贈与しても相続税は逃げられない」という趣旨の規定です。

令和6年以降は持ち戻し期間が「7年」に延長

令和5年度の税制改正により、令和6年1月1日以降の贈与については、持ち戻しの対象期間が3年から7年に延長されました。つまり、相続開始前7年以内の贈与が相続財産に加算される対象となります。 ただし、延長された4年間(相続開始前4年〜7年)に行われた贈与については、合計100万円までは相続財産への加算対象から除外される緩和措置があります。

経過措置と実務上の影響

この改正は令和6年1月1日以降の贈与から適用されるため、完全に7年間が対象となるのは令和13年1月1日以降に発生する相続からです。当面は、改正前の贈与分については旧ルール(3年)が適用される期間が続きます。 実務上の影響として、「数年前に贈与しておけば相続財産から外せる」という前提が崩れやすくなった点が挙げられます。これまでより長期的な視点で生前贈与を計画する必要があり、「相続が近そうだから今のうちに贈与しておく」という対策の効果は限定的になっています。

選択肢②:不動産を売却して現金化する

不動産のまま持つメリット:相続税評価額の圧縮効果

不動産は、時価(実勢価格)よりも相続税評価額(路線価・固定資産税評価額ベース)の方が低くなる傾向があります。賃貸物件であれば、貸家建付地・貸家としての評価減も適用され、さらに評価額が下がります。現金で1億円持っているより、1億円相当の不動産を持っているほうが、相続税評価額は低くなることが多いのです。

現金化するメリット:納税資金の確保と分割のしやすさ

一方で、不動産のまま相続すると、相続税の納税資金が不足するリスクがあります。相続税は原則として現金一括納付が必要です。不動産を多く所有し、預金が少ない場合、相続人が自己資金や借入で納税資金を用意しなければならない事態になりかねません。 また、不動産は複数の相続人で分けにくい資産です。売却して現金化しておけば、相続人間で公平に分割しやすくなるというメリットもあります。 ただし、売却すれば譲渡所得税(保有期間に応じて約20〜40%)が発生し、評価額の圧縮効果も失われる点は理解しておく必要があります。

バランスを取った相続対策の考え方

「不動産か現金か」「贈与か相続か」は二択ではなく、所有する資産全体のバランスを見て判断することが重要です。 ・相続税評価額を抑えたい資産は不動産のまま保有を検討 ・納税資金が不足しそうな場合は、一部の不動産を売却して現金を確保 ・後継者に確実に引き継ぎたい不動産は、コストを比較した上で生前贈与を検討(持ち戻しルールの影響も考慮) どの組み合わせが最適かは、所有資産の内容・相続人の数・将来の納税資金の見通しによって異なります。

まとめ

不動産の相続対策は、「生前贈与か現金化か」という単純な二択ではなく、節税・納税資金・分割という3つの視点をバランスさせることが重要です。生前贈与は付随コスト(不動産取得税・登録免許税)が相続より高くなる傾向があり、さらに令和6年からは持ち戻し期間が3年から7年に延長されたことで、計画的かつ長期的な視点が必要になっています。 所有している不動産の状況や相続人の構成によって最適な対策は異なります。早めに資産全体を把握し、税理士に相談しながら計画を立てることをお勧めします。

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