
2026-06-19
税金・節税借地権の相続・売却における税務上の取り扱いを税理士が解説
借地権は、建物所有を目的に土地を借りる権利でありながら、それ自体に財産的価値を持つ特殊な不動産です。相続税評価の方法や、相続と売却で異なる地主の承諾の有無、譲渡所得の計算方法など、押さえておくべき税務上の取り扱いを税理士が解説します。
不動産の中でも特殊な論点となるのが「借地権」です。借地権は、建物の所有を目的として他人の土地を借りる権利ですが、それ自体に財産的な価値があり、相続や売却の際には独自の税務上の取り扱いがあります。本記事では、借地権に関する税法上の取り扱いについて税理士が解説します。
借地権とは
借地権とは、建物の所有を目的として土地を借りる権利(借地借家法上の権利)です。借地人は地主に地代を支払って土地を使用しますが、借地権そのものに財産的価値があり、相続財産や売却の対象として扱われます。 旧借地法に基づく借地権(旧法借地権)と、平成4年の借地借家法施行以降の借地権(普通借地権・定期借地権等)では、契約更新の有無や存続期間の取り扱いが異なるため、契約内容の確認が重要です。
借地権の相続税評価
借地権を相続する場合、相続税の計算上、借地権そのものに価額(評価額)が生じます。 借地権の評価額は、以下の式で算定します。 借地権の評価額 = 自用地としての価額(路線価ベース) × 借地権割合 借地権割合は、路線価図にA(90%)からG(30%)の記号で示されており、地域によって異なります。 一方、地主側が持つ「底地」の評価額は、自用地としての価額 ×(1 − 借地権割合)で算定され、借地権が付着している分、底地の評価額は低くなります。
借地権を相続する際の注意点
借地人が亡くなった場合、借地権は相続財産として相続人に引き継がれます。賃借権の譲渡には通常、賃貸人(地主)の承諾が必要ですが、相続は譲渡には該当しないため、地主の承諾は不要です。 相続による承継について、名義変更料の支払義務は法律上ありません。ただし実務上は、地主との関係を維持するために相続が発生した旨を連絡し、今後の更新交渉等を考慮して円滑な関係を保つ目的から、慣行として名義変更料を支払うケースも見られます。
借地権を売却する場合の注意点
借地権そのものを第三者に売却(譲渡)する場合は、相続と異なり、原則として地主の承諾が必要です。承諾を得る際には「承諾料(名義書換料)」が発生することが一般的で、相場は借地権価額の5〜15%程度とされていますが、地域差が大きいため事前に確認が必要です。 また、借地権を売却する代わりに、地主に借地権を買い取ってもらう方法や、借地権と底地を整理し、完全所有権化するといった解消方法もよく利用されます。地主・借地人どちらにとっても、権利関係が単純化されるメリットがあります。
借地権の売却にかかる税金
借地権を売却した場合の利益(譲渡所得)は、通常の不動産と同様に申告分離課税の対象となり、保有期間に応じて短期・長期の税率(短期39.63%、長期20.315%)が適用されます。 譲渡所得の計算上、取得費には借地権を取得した際に支払った借地権料や、その後の更新料の一部などを含めることができます。取得費が不明な場合は、譲渡価格の5%を取得費とみなす概算取得費を使うことも可能です。
底地とセットでの権利関係の解消
借地権・底地の権利関係が複雑なまま相続・売却を繰り返すと、将来的に権利関係がさらに複雑化するリスクがあります。前述のとおり、借地権と底地を整理し完全所有権化する手法もその一つであり、地主・借地人双方の合意のもとで進めることで、将来の相続や売却がスムーズになります。
税理士からのアドバイス
借地権は、相続税評価・譲渡所得の計算いずれにおいても、通常の不動産とは異なる独自のルールが適用されるため、契約内容(旧法借地権か新法借地権か、地代・更新料の取り決めなど)を正確に把握しておくことが重要です。借地権の相続・売却を検討している場合は、評価方法や地主との交渉も含めて、早めに税理士にご相談ください。
まとめ
借地権は、建物所有を目的に土地を借りる権利でありながら、それ自体が財産的価値を持つ特殊な不動産です。相続の際は地主の承諾なく引き継げる一方、売却の際は地主の承諾と承諾料が必要になるなど、相続と売却で異なる取り扱いがある点を押さえておく必要があります。借地権割合に基づく評価方法や譲渡所得の計算方法も独自のルールがあるため、専門家に相談しながら進めることをお勧めします。


