
2026-06-30
税金・節税固定資産税と償却資産税の違いとは?課税対象・申告が必要な資産を税理士が解説
土地・建物には固定資産税が、機械装置や工具器具備品などの事業用資産には償却資産税が課税されます。両者は名称が似ていますが、課税方式や申告方法は異なります。基本的な取り扱いと免税点・課税対象外資産について税理士が解説します。
不動産投資や事業を行っていると、毎年固定資産税の納税通知書が届くほか、機械装置や工具器具備品などを所有している場合は償却資産税の申告・納税も必要になります。両者は同じ「固定資産」を対象としていますが、課税の仕組みや手続きには違いがあります。本記事では、固定資産税・償却資産税の基本的な取り扱いと、課税対象外となる資産・免税点について税理士が解説します。
固定資産税とは
固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)時点で土地・家屋・償却資産を所有している方に対して、その資産が所在する市区町村(東京23区は都)が課す地方税です。土地・家屋については、市区町村が備える固定資産課税台帳に登録された価格(固定資産税評価額)を基に、標準税率1.4%を乗じて税額が計算されます。固定資産税評価額は、総務大臣が定める固定資産評価基準に基づき評価され、土地については地価公示価格等の約7割を目安として評価されます。評価替えは原則3年ごとに行われます。
償却資産税とは
償却資産税は固定資産税の一種で、土地・家屋以外の事業用の固定資産(機械装置・工具器具備品・構築物等)を対象に課税されます。代表的なものとして、事業用の機械装置、パソコン等の器具備品、看板や駐車場の舗装などの構築物が挙げられます。固定資産税が市区町村による職権登録(賦課課税方式)であるのに対し、償却資産税は所有者自身が毎年1月31日までに「償却資産申告書」を市区町村へ提出する必要がある申告制度である点が大きな違いです。課税標準額は、取得価額を基礎に、耐用年数に応じた減価率を用いて評価額を算定します。
課税対象外となる資産・免税点
固定資産税・償却資産税には、一定の基準を下回る場合に課税されない「免税点」が設けられています。同一市区町村内で同一の方が所有する資産の課税標準額の合計が、土地30万円未満、家屋20万円未満、償却資産150万円未満である場合には、原則として固定資産税・償却資産税は課税されません。なお、免税点はあくまで「課税標準額が一定額に満たない場合に課税が行われない」という取り扱いであり、対象資産そのものが制度上「非課税」とされているわけではない点に注意が必要です。
これとは別に、そもそも償却資産税の課税対象から除外される資産もあります。例えば、自動車税・軽自動車税の課税対象となる自動車・軽自動車は償却資産税の対象から除かれます。これは、自動車については別途自動車税・軽自動車税が課されるため、二重課税を避ける趣旨によるものです。なお、フォークリフトには小型特殊自動車としてナンバー登録されるものもあり、その場合は自動車税(種別割)または軽自動車税(種別割)の課税対象となるため償却資産税は課されませんが、ナンバー登録のない構内専用車両等は自動車税等の対象とならないため、償却資産税の課税対象に含まれる点には注意が必要です。
さらに、ソフトウェア等の無形固定資産や、商品・原材料といった棚卸資産は、いずれも償却資産税の対象には含まれません。償却資産税はあくまで事業の用に供する有形の減価償却資産を課税対象とする制度である点を押さえておくとよいでしょう。
不動産投資における留意点
不動産投資では、建物本体は固定資産税の対象となりますが、賃貸物件に附属する事業用の設備(例えば、店舗用の空調設備や駐車場の舗装、防犯カメラ等)は、所有形態や契約内容によっては償却資産税の申告対象となるケースがあります。特に、テナントの内装・設備工事を所有者側で行った場合や、賃借人が独自に設置した設備であっても契約上所有権が賃貸人に帰属する場合などは、申告漏れが生じやすいポイントです。なお、賃借人(テナント)が設置した内装・設備であっても、地方税法上「特定附帯設備」に該当するものは、所有関係に応じて償却資産税の申告対象となる場合があります。これは、店舗や事務所の内装・設備について、所有者と設置者が異なる場合に申告対象者を判定する制度です。確定申告の際に減価償却資産として計上している資産については、償却資産税の申告対象に該当しないか確認しておくことをお勧めします。
税理士からのアドバイス
固定資産税は市区町村が税額を計算して通知する賦課課税方式であるのに対し、償却資産税は所有者自身が毎年申告する必要があるという手続き上の違いがあります。償却資産の申告を失念すると、後日修正申告や追徴のリスクにつながる可能性があるため、事業用資産を新たに取得・除却した場合は、固定資産税評価だけでなく償却資産の申告状況も併せて見直すことをお勧めします。
まとめ
土地・家屋の固定資産税は自治体が価格を決定して課税するのに対し、償却資産税は事業者が申告した内容を基に課税されます。申告漏れが生じやすい税目でもあるため、設備投資や不動産投資を行った際は対象資産を確認し、適切に申告することが重要です。課税方式や評価方法、免税点・課税対象外資産の判断に迷う場合は、税理士に相談しながら進めることをお勧めします。


