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不動産売却の譲渡所得税の計算方法|取得費・譲渡費用・特別控除を税理士が解説

2026-06-01

税金・節税

不動産売却の譲渡所得税の計算方法|取得費・譲渡費用・特別控除を税理士が解説

不動産を売却すると譲渡所得の確定申告が必要になります。取得費に何が含まれるか、書類がない場合の対応、譲渡費用の範囲など、実務では判断に迷う場面が多くあります。知っておくと役立つ5つのポイントを税理士が解説します。

不動産を売却して利益が出た場合、その利益(譲渡所得)に対して所得税・住民税が課税され、翌年の確定申告が必要になります。計算の仕組み自体はシンプルですが、「取得費に何が含まれるか」「当時の書類が手元にない」「どの費用が経費になるか」など、実務では判断に迷うケースが数多くあります。ここでは不動産の譲渡所得計算で特に押さえておくべき5つのポイントを解説します。

■ ポイント①:基本の計算式を正確に理解する 譲渡所得の計算式は以下のとおりです。 「譲渡所得 = 譲渡収入金額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除額」譲渡収入金額:売却代金(固定資産税の精算金も含む) ・取得費:その不動産を取得したときにかかった費用(詳細はポイント②) ・譲渡費用:売却するためにかかった費用(詳細はポイント③) ・特別控除額:居住用財産の3,000万円控除など、適用できる特例がある場合に差し引く金額 この計算でプラスになった金額が課税対象の譲渡所得です。マイナスになった場合(譲渡損失)は、一定の要件のもとで他の所得と損益通算できるケースがあります

■ ポイント②:取得費に含まれるもの・含まれないもの 取得費は計算上最も重要な要素の一つです。正しく計上することで課税対象の譲渡所得を適正に抑えられます。 【取得費に含まれるもの】 ・土地・建物の購入代金(建物は取得後から売却までの減価償却費相当額を差し引いた金額) ・購入時の仲介手数料 ・購入時の登記費用・司法書士報酬 ・購入時の印紙税不動産取得税住宅ローンの利息のうち、建物の取得に係る部分(建物の使用開始前の期間分に限られます) ・建物の増改築費用(資本的支出として計上した部分) 【取得費に含まれないもの】 ・ローンの元本返済額(取得費には算入されません) ・取得後に支払った固定資産税・都市計画税 ・通常の修繕費(原状回復目的のもの) ・火災保険料

■ ポイント③:譲渡費用になるもの・ならないもの 譲渡費用とは、「その不動産を売るために直接かかった費用」です。 【譲渡費用になるもの】 ・売却時の仲介手数料 ・売却時の印紙税測量費・境界確認費用(売却のために実施したもの) ・建物の解体費用(更地にして売却した場合) ・借家人への立退料売買契約解除に伴う違約金(買主の都合による場合) 【譲渡費用にならないもの】 ・売却後に発生した修繕費・クリーニング費引越費用固定資産税の精算金(譲渡収入金額に含まれます) ・ローンの繰上返済手数料(取得費・譲渡費用いずれにも該当しません) 「売るために必要だったか」という視点で判断することが基本です。迷う費用は税理士に確認することをお勧めします。

■ ポイント④:取得時の書類がない場合の対応 実務で最もよく直面するイレギュラーが、「購入当時の売買契約書や領収書が手元にない」ケースです。取得費が証明できない場合、原則として「概算取得費(売却価格の5%)」を取得費として使用します。 例えば売却価格が3,000万円の場合、概算取得費は150万円となり、取得費が少ない分だけ譲渡所得が大きくなり、税負担が増えます。そのため、実際の取得費を少しでも証明できる資料を集めることが重要です。 取得費の証明に使える資料の例売買契約書の控え(最も有効) ・登記簿謄本の記録(取得年月日の確認に使用可) ・通帳の振込記録(購入代金の支払いを示す) ・住宅ローンの返済明細書・残高証明書当時の不動産業者や銀行への問い合わせ固定資産税の課税明細書(建物評価額の参考に) 概算取得費(5%)と実額のどちらか有利な方を選択できます。取得が古く実際の取得費が売却価格の5%を下回ることが明らかな場合は、概算取得費の適用が有利になることもあります。

■ ポイント⑤:保有期間で税率が大きく変わる 譲渡所得にかかる税率は、売却した年の1月1日時点での保有期間によって大きく異なります。 ①短期譲渡所得(保有期間5年以下):約39.63%(所得税30.63%+住民税9%) ②長期譲渡所得(保有期間5年超):約20.315%(所得税15.315%+住民税5%) 税率が約2倍異なるため、保有期間が5年を超えるかどうかは売却タイミングの判断において極めて重要です。なお、「売却した年の1月1日時点」で判定するため、例えば2020年3月に購入した物件は、2026年1月1日以降に売却してはじめて長期譲渡として扱われます(購入から5年後の2025年3月ではなく)。 また、居住用財産(マイホーム)であれば3,000万円特別控除や10年超所有の軽減税率特例(6,000万円以下の部分は約14.21%)が適用できる場合があります。これらの特例は確定申告での申請が必要です。 相続で取得した不動産の保有期間は、原則として被相続人(亡くなった方)が取得した日から起算します。相続後すぐに売却しても、被相続人の取得日が5年超前であれば長期譲渡として扱われます。これは実務上よく見落とされるポイントです。

■ まとめ:証拠書類の保管と専門家への相談が最大の備え 不動産の譲渡所得計算は、取得費の把握・経費の正確な計上・適切な特例の適用の3点が節税の鍵です。特に取得費の証拠書類(売買契約書・領収書類)は、売却のタイミングがいつになるかわからないため、不動産を取得した時点から大切に保管することが最善の備えです。書類が見つからない場合でも、通帳・ローン明細・登記記録など複数の資料を組み合わせることで取得費を立証できるケースがあります。譲渡所得の申告は専門性が高く、適切な処理をするだけで税額が大きく変わることがあるため、売却が決まったら早めに税理士に相談することをお勧めします。

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