記事一覧に戻る
不動産投資ローンの注意点とは?担保・金利・損益通算を税理士が解説

2026-06-25

融資・ローン

不動産投資ローンの注意点とは?担保・金利・損益通算を税理士が解説

不動産オーナーが事業を始める際や運営中に借入を行う場面では、担保設定や金利タイプの選択など、判断を誤ると後々の経営を圧迫する論点が数多くあります。借入金利子の損益通算制限など見落としがちな税務上の注意点も含めて、税理士目線で解説します。

不動産オーナーが賃貸事業を始めるとき、また運営中に物件の追加取得や大規模修繕を行うときには、金融機関からの借入や所有不動産を担保にした融資を利用する場面が多くあります。借入の条件や担保の設定方法によって、その後の経営の安定性が大きく変わるほか、見落としがちな税務上の注意点もあります。本記事では、不動産オーナーが借入を行う際のポイントを税理士目線で解説します。

不動産オーナーが借入を行う場面

不動産オーナーの借入は、その多くが物件の取得資金、大規模修繕・リフォーム資金、借換えのいずれかの場面で発生します。これに加えて、納税資金の確保など例外的な場面で借入を行うケースもあります。いずれの場面でも、借入条件や担保設定の内容が将来の事業計画に影響するため、事前の検討が重要です。

借入の際のポイント①金融機関の審査基準

金融機関は、借入を行う個人の属性(年収・資産背景)だけでなく、対象物件の収益性(賃料水準、空室率、築年数)や事業計画の妥当性を総合的に審査します。特に運営中の追加借入では、既存物件の運営実績(賃貸経営の実態)も審査対象となるため、確定申告書や賃貸借契約書などの資料を整えておくことが重要です。

借入の際のポイント②担保設定

不動産を担保にする場合、抵当権根抵当権のいずれが設定されるかを確認しておく必要があります。抵当権は特定の借入額を対象に設定されるのに対し、根抵当権は一定の極度額の範囲内で繰り返し借入・返済ができる仕組みです。

根抵当権のメリット・デメリット

根抵当権は、追加融資を受ける際に都度の抵当権設定登記が不要になる点がメリットですが、極度額の範囲内であっても他の借入の担保としても使われている場合は、売却・買い替え時の調整が複雑になることがあります。担保となる物件を将来売却する可能性がある場合は、担保設定の内容を事前に確認しておきましょう。

借入の際のポイント③LTV(借入割合)

LTV(Loan to Value)とは、物件価格に対する借入額の割合を指します。フルローン・オーバーローンは購入時の手元資金を抑えられますが、金利上昇や空室発生時のリスクが高くなります。近年の融資環境では、LTVを引き下げて自己資金を多めに投入することで、金利上昇や空室による収支悪化への耐性を高める考え方が重視されています。

借入の際のポイント④金利タイプと返済比率

借入金利には固定金利型と変動金利型があり、それぞれ金利上昇リスクの取り方が異なります。また、賃料収入に対する返済額の割合(返済比率)が高すぎると、空室や金利上昇が発生した際にキャッシュフローが急激に悪化するリスクがあるため、余裕を持った返済計画を立てることが重要です。

借入の際のポイント⑤連帯保証・個人保証のリスク

法人で借入を行う場合でも、代表者個人が連帯保証人になるケースが多く、法人の借入であっても個人の資産が実質的なリスクにさらされる点に注意が必要です。保証の範囲や、将来的に保証を外せる条件(事業承継時の経営者保証解除等)についても、契約時に確認しておくとよいでしょう。

税務上の注意点①:元本返済と減価償却の関係

不動産オーナーから「毎月20万円返しているのに、なぜ経費にならないんですか?」という質問を受けることが非常に多くあります。借入金の返済額のうち利息部分は必要経費になりますが、元本返済部分は経費にはなりません。これは元本返済が「借りたお金を返しているだけ」であり、所得の計算上の支出(経費)には該当しないためです。 一方で、現金の支出を伴わない減価償却費は必要経費として計上できます。返済額と経費計上額にズレが生じるのはこのためであり、「キャッシュフロー」と「税務上の損益」は必ずしも一致しない点を理解しておくことが重要です。

税務上の注意点②:借入金利子の損益通算制限

不動産投資ローンの利子は、原則として不動産所得の必要経費として計上できますが、不動産所得が赤字となった場合、土地等の取得に要した借入金の利子に相当する部分は、他の所得との損益通算ができません(措置法41条の4)。建物部分の利子は損益通算の対象となるため、借入金が土地と建物のどちらの取得に対応するものかを区分して管理しておくことが重要です。

税理士からのアドバイス

不動産オーナーの借入は、金融機関の審査基準・担保設定の方法・LTV・金利タイプ・連帯保証のリスクなど、検討すべき論点が多岐にわたります。特に、元本返済と減価償却費のズレ、不動産所得が赤字になった場合の借入金利子の損益通算制限は見落とされがちな税務上の注意点です。借入を検討する段階から、税理士に相談しながら資金計画を立てることをお勧めします。

まとめ

不動産オーナーが借入を行う際は、審査基準や担保設定の仕組み、LTVを踏まえた無理のない資金計画を立てることが重要です。あわせて、元本返済と減価償却費のズレ、借入金利子の損益通算制限など税務上の注意点も踏まえ、専門家と連携しながら借入を進めることをお勧めします。

実際にシミュレーションしてみよう

物件価格・ローン・家賃を入力して、35年分の収支を無料で試算できます。

シミュレーターを使う →