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不動産売却の特例一覧|3,000万円控除・空き家特例など適用要件を税理士が解説

2026-07-05

売却・出口戦略

不動産売却の特例一覧|3,000万円控除・空き家特例など適用要件を税理士が解説

不動産の売却時には、要件を満たせば適用できる特例が複数あります。知らないまま申告すると適用漏れになることも。マイホームを売った方向けの3,000万円特別控除・軽減税率・買換え特例から、相続した不動産向けの取得費加算・空き家特例まで、主な特例と適用要件を税理士が解説します。

不動産を売却したとき、要件を満たせば譲渡所得税を大幅に軽減できる特例が複数設けられています。ところが、「自分に使える特例があることを知らなかった」「申告後に特例の存在を知った」というケースは少なくありません。特例は原則として確定申告で適用を受ける必要があります。本記事では、不動産売却時に使える主な特例と適用要件の概要を税理士が解説します。

主な特例の一覧

特例の名称主な対象者主な効果主な併用関係
居住用財産の3,000万円特別控除マイホームを売った方譲渡所得から最大3,000万円控除軽減税率と併用可
居住用財産の軽減税率(10年超)10年超所有のマイホームを売った方6,000万円以下部分の税率軽減3,000万円控除と併用可
特定居住用財産の買換え特例10年超所有のマイホームを買い換えた方課税を将来に繰り延べ3,000万円控除との同年併用不可
居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除マイホームを売って損失が出た方損失を他の所得と通算・3年繰越損失の場合に適用
相続税の取得費加算の特例相続した財産を3年以内に売った方相続税額の一部を取得費に加算空き家特例との関係は要確認
被相続人居住用家屋(空き家)の3,000万円特別控除相続した空き家を売った方最大3,000万円(相続人3人以上は2,000万円)控除取得費加算との関係は要確認

①マイホームを売った方向けの特例

居住用財産の3,000万円特別控除(措法35条)

自己の居住の用に供していた家屋(およびその敷地)を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。所有期間の長短を問わず適用できる点が特徴です。主な要件として、①売却した家屋に自分が住んでいた(または住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること)、②前年・前々年に同特例または後述の軽減税率の特例を適用していないこと、③配偶者・直系血族など一定の特別関係者への売却でないこと、などがあります。

居住用財産の軽減税率の特例(措法31条の3)

所有期間が売却した年の1月1日時点で10年を超える居住用財産を売却した場合、課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分について税率が通常の20.315%から14.21%(所得税10.21%・住民税4%)に軽減されます。上記の3,000万円特別控除と同一年に併用できる点が大きなメリットです。

特定居住用財産の買換え特例(措法36条の2)

所有期間・居住期間がともに10年超の居住用財産を売却し、新たな居住用財産に買い換えた場合、一定の要件のもとで売却益への課税を将来に繰り延べることができます。課税がなくなるのではなく繰り延べである点に注意が必要です。本特例は令和7年(2025年)12月31日までの譲渡を適用期限として設けられており(その後の延長については最新の税制改正をご確認ください)、3,000万円特別控除との同一年の併用はできません

②相続した不動産を売った方向けの特例

相続税の取得費加算の特例(措法39条)

相続等により取得した財産を、相続税の申告期限の翌日から3年以内に譲渡した場合、支払った相続税額のうち一定額を取得費に加算できます。相続税を支払った後に短期間で不動産を売却するケースでは、二重課税的な負担を軽減できる制度です。加算できる相続税額は、譲渡した財産に対応する相続税額を基に計算します。

被相続人居住用家屋の3,000万円特別控除(空き家特例・措法35条3項)

相続等で取得した被相続人が住んでいた家屋(空き家)またはその敷地を一定の要件のもとで売却した場合、最大3,000万円(相続人が3人以上の場合は2,000万円)を譲渡所得から控除できます。主な要件として、①昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、②相続開始直前に被相続人が1人で居住していたこと(一定の要件を満たす老人ホーム入所中の被相続人も対象となる場合があります)、③売却価額が1億円以下であること、④売却時または売却後に耐震改修または除却を行うこと、などがあります。令和5年度税制改正以降、買主が耐震改修・除却を行った場合も対象となるなど要件の拡充もありますので、最新の適用要件を確認することをお勧めします。

③売却損が出た方向けの特例

居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰越控除(措法41条の5・41条の5の2)

マイホームを売却して損失が生じた場合、一定の要件のもとでその年の他の所得と損益通算し、通算しきれなかった損失は翌年以後3年間にわたって繰越控除できます。買い換えた場合(措法41条の5)と買い換えない場合で住宅ローン残高が売却代金を上回る場合(措法41条の5の2)の2種類があり、それぞれ適用要件が異なります。損失が出たとしても特例を適用することで税負担を軽減できる可能性がありますので、確定申告の際に確認することをお勧めします。

特例は併用できる?

不動産売却の特例は一つとは限りません。組み合わせて使えるケースと、同一年の重複適用ができないケースがあります。 | 組み合わせ | 同一年の併用 | 備考 | |---|---|---| | 3,000万円控除 + 軽減税率 | 可能 | 最も多く活用される組み合わせ | | 3,000万円控除 + 買換え特例 | 不可 | どちらかを選択する必要がある | | 取得費加算 + 空き家特例 | 要確認 | 同一財産への重複適用の可否は個別判断が必要 | | 3,000万円控除 + 取得費加算 | 対象財産が異なれば可能 | 異なる財産の譲渡であれば両立しうる |

税理士からのアドバイス

不動産の譲渡に関する特例は、適用要件の判定が複雑なものも多く、売却前に要件を確認しておくことが重要です。特に、「いつ売るか(売却のタイミング)」「買い換えるか否か」「相続してからどれくらい経過しているか」によって使える特例が大きく変わります。売却を検討している段階から税理士に相談することで、適用漏れや選択ミスを防ぐことができます。

まとめ

不動産売却時には、マイホーム向けの3,000万円特別控除・軽減税率・買換え特例、相続不動産向けの取得費加算・空き家特例、損失が出た場合の損益通算・繰越控除など、複数の特例が設けられています。特例は一つとは限らず、組み合わせて使えるケースもあります。原則として確定申告での申請が必要であるため、「自分に使える特例があるかどうか」を売却前に確認しておくことが、税負担を適切に管理するうえで非常に重要です。

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