記事一覧に戻る
不動産にかかる税金一覧|購入・保有・売却・相続の各段階で発生する税を税理士が解説

2026-06-03

税金・節税

不動産にかかる税金一覧|購入・保有・売却・相続の各段階で発生する税を税理士が解説

不動産はあらゆるタイミングで税金と関わります。購入時・所有中・売却時・相続時それぞれにどんな税金がいくら程度かかるのか、具体的な数字をもとに税理士がわかりやすく解説します。

不動産を購入してから売却・相続するまでの間、さまざまな税金が発生します。「買うときだけ税金がかかる」と思っている方も多いですが、実際には所有している間も、売るときも、亡くなって相続されるときも税金がついてまわります。本記事では物件価格4,000万円(土地2,000万円・建物2,000万円)のマイホームを購入したケースを例に、各タイミングでかかる税金の種類と概算額を解説します。

購入時にかかる税金

不動産を取得した際には、複数の税金が一度にかかります。まとまった資金が必要になるため、事前に把握しておくことが重要です。

不動産取得税

不動産を取得したときに都道府県から課税される税金です。原則は「固定資産税評価額 × 4%」ですが、住宅用途の場合は3%に軽減されます。さらに一定要件を満たす住宅・土地には控除も適用されます。 【概算例】 固定資産税評価額を物件価格の約70%と仮定すると ・建物評価額:1,400万円 × 3% = 42万円(軽減控除前) ・土地評価額:1,400万円 × 3% − 控除額 ≒ 数万〜10万円程度(軽減措置適用後) 不動産取得税は取得後6ヶ月〜1年半程度で納税通知書が届きます。購入直後に請求が来ないため忘れがちですが、資金は必ず確保しておきましょう。

登録免許税

不動産の登記(名義変更・抵当権設定)をする際に国に納める税金です。 【概算例・固定資産税評価額1,400万円の場合】 ・所有権移転登記(土地):1,400万円 × 1.5% = 21万円(軽減税率適用時) ・所有権移転登記(建物):1,400万円 × 0.3% = 4.2万円(新築の軽減税率適用時) ・抵当権設定登記:借入額3,000万円 × 0.1% = 3万円(軽減税率適用時) ・合計概算:約28万円 軽減税率の適用には要件があり、中古住宅の場合は税率が異なります。

印紙税

売買契約書に貼付する税金です。契約書記載金額によって金額が決まります。 ・4,000万円の売買契約書:1万円 売主・買主それぞれが1通ずつ保管する場合、両者が各自負担します。

消費税

土地には消費税はかかりません。消費税が課税されるのは建物部分のみです。ただし、個人間売買(個人が自宅を売るケース)は非課税となります。不動産業者(法人)から購入する場合は課税対象です。 ・建物2,000万円(業者から購入)× 10% = 200万円 購入時の税金合計(概算):不動産取得税・登録免許税・印紙税・消費税あわせて約280〜300万円程度が目安です(物件・適用要件によって大きく変わります)。

住宅ローン控除(購入後の税負担を和らげる制度)

購入時は多額の税金がかかりますが、住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合、入居した翌年から「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」を利用できます。 年末時点のローン残高の0.7%相当額が、その年の所得税から控除され、所得税で控除しきれない分は翌年度の住民税からも一部控除されます。控除期間は原則13年間(中古住宅は10年間)です。 例:年末ローン残高3,000万円の場合 → 3,000万円 × 0.7% = 21万円が所得税・住民税から還付される可能性 この控除により購入時の税負担を数年かけて取り戻せるケースも多く、実質的な税負担を大きく軽減できます。なお、適用には確定申告(初年度のみ)が必要です。

所有中にかかる税金

不動産を持っている間は、毎年継続して税金がかかります。

固定資産税

毎年1月1日時点の所有者に対して市区町村が課税します。税率は原則固定資産税評価額 × 1.4%です。住宅用地には以下の軽減措置があります。 ・小規模住宅用地(200㎡以下):課税標準が1/6に軽減 ・一般住宅用地(200㎡超):課税標準が1/3に軽減 【概算例】 土地(固定資産税評価額1,400万円・200㎡以下) → 1,400万円 × 1/6 × 1.4% ≒ 約3.3万円/年 建物(固定資産税評価額1,400万円) → 1,400万円 × 1.4% = 約19.6万円/年 【新築一戸建ての特例:建物の固定資産税が1/2に】 新築一戸建てを購入した場合、建物部分の固定資産税が最初の3年間は1/2になります(長期優良住宅に認定された場合は5年間)。上記の例であれば、建物の税額が約19.6万円 → 約9.8万円に軽減されます。 ただし、軽減期間が終わると税額が元に戻るため、「急に税金が増えた」と感じる方もいます。これは増税されたわけではなく、軽減されていた期間が終わり、本来の税額に戻ったものです。購入前から軽減終了後の金額を想定した資金計画を立てておくことをお勧めします。

都市計画税

市街化区域内の土地・建物にかかる税金で、税率は原則固定資産税評価額 × 0.3%(上限)です。固定資産税と合わせて納付します。 【概算例・上記と同じ物件】 土地:1,400万円 × 1/3 × 0.3% ≒ 約1.4万円/年 建物:1,400万円 × 0.3% = 約4.2万円/年 固定資産税+都市計画税の合計:年間約28〜29万円が目安となります(新築軽減措置が終わると上昇します)。

所得税・住民税(賃貸に出している場合)

不動産を賃貸に出して家賃収入がある場合、「不動産所得」として確定申告が必要です。 不動産所得 = 家賃収入 − 必要経費(減価償却費・管理費・ローン利息など) この不動産所得に対して所得税・住民税(最大55%)が課税されます。自宅として居住している場合は課税されません。

売却時にかかる税金

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、翌年の確定申告で所得税・住民税を納める必要があります。

譲渡所得税の税率

売却した年の1月1日時点の保有期間によって税率が大きく異なります。 ・保有5年以下(短期譲渡):約39.63%(所得税30.63%+住民税9%) ・保有5年超(長期譲渡):約20.315%(所得税15.315%+住民税5%) 税率が約2倍異なるため、売却タイミングは慎重に検討することが重要です。

概算例(投資用物件として売却した場合)

・取得価格:4,000万円(建物の減価償却後の取得費:3,500万円と仮定) ・売却価格:5,500万円(保有10年・長期譲渡) ・譲渡費用(仲介手数料等):約180万円 譲渡所得 = 5,500万円 −(3,500万円 + 180万円)= 1,820万円 税額 = 1,820万円 × 20.315% ≒ 約370万円

マイホームの場合は特例が使える

自宅(マイホーム)を売却する場合、3,000万円特別控除が利用できます。上記の例では譲渡所得1,820万円が全額控除されるため、税額はゼロになります。 ただし、この特例は確定申告での申請が必要です。また、売却の前年・前々年に同特例を使っていないことなどの要件があります。

売却時の印紙税

売買契約書にも印紙税がかかります。5,500万円の売買契約書であれば、本則(原則)は6万円ですが、現在は軽減措置が適用されるため、実際の負担は3万円となります。

相続時にかかる税金

不動産を持っている方が亡くなると、相続人が遺産を引き継ぎます。遺産の総額が一定額を超える場合、相続税が課税されます。

相続税の基礎控除

相続税には「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」という基礎控除があります。 例:相続人が配偶者と子1人(計2名)の場合 基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円 遺産総額が4,200万円以下であれば相続税はかかりません。

不動産の相続税評価額

相続税における土地の評価は路線価(実勢価格の約80%水準)で行います。建物は固定資産税評価額で評価します。 例:実勢価格2,000万円の土地 → 路線価ベースで約1,600万円として評価

小規模宅地等の特例

被相続人(亡くなった方)が居住していた自宅の土地については、330㎡までを限度に評価額を80%減額できる「小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)」があります。 例:路線価ベースの土地評価額1,600万円 → 特例適用後:1,600万円 × 20% = 320万円 この特例は、配偶者や同居親族が相続する場合などに適用できます。適用要件を満たすかどうかは専門家への確認が必要です。

相続税の概算

遺産が自宅(土地・建物)と預金だけのケースで、特例適用後の遺産総額が4,000万円だったとします。 課税遺産総額 = 4,000万円 − 4,200万円(基礎控除)= 0円 → この場合は相続税なし 遺産総額が基礎控除を超える場合は、超えた部分に対して税率(10%〜55%の累進課税)が適用されます。

まとめ:不動産と税金の関係を整理する

不動産に関わる税金を一覧で整理すると以下のとおりです。 ・購入時:不動産取得税・登録免許税・印紙税・消費税(合計数十〜数百万円) ・所有中:固定資産税・都市計画税(年間数十万円)、不動産所得があれば所得税も ・売却時:譲渡所得税(利益の約20〜40%)、マイホームなら特例で大幅軽減 ・相続時:相続税(基礎控除超過分に課税)、小規模宅地等の特例で大幅軽減の可能性 各タイミングで適切な特例・軽減措置を活用できるかどうかで、税負担は大きく変わります。どのタイミングで・どの特例が使えるかを事前に把握しておくことが最大の節税策です。不動産の取得・売却・相続を検討している方は、早めに税理士にご相談ください。

実際にシミュレーションしてみよう

物件価格・ローン・家賃を入力して、35年分の収支を無料で試算できます。

シミュレーターを使う →