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貸付用不動産の評価方法見直し、改正内容に注目|5年縛りルール

2026-05-18

融資・ローン

貸付用不動産の評価方法見直し、改正内容に注目|5年縛りルール

令和8年税制改正大綱で発表された貸付用不動産の評価見直しは、令和9年1月1日以降の相続・贈与から適用される予定です。これまでの相続税対策として広く使われてきた不動産活用の考え方が大きく変わります。改正内容と今後の対応策を解説します。

令和8年税制改正大綱において、貸付用不動産の相続税・贈与税における評価方法の見直しが発表されました。適用開始は令和9年1月1日以降の相続・贈与からとなる予定です。これまで相続税対策として広く活用されてきた「賃貸不動産の購入による評価圧縮」の効果が、この改正によって大きく変わることになります。 ただし、新しい評価方法の適用対象となるのは、相続(死亡)時または贈与時の前5年以内に対価を伴って取得または新築した一定の「貸付用不動産」に限られます。いわゆる「5年縛りルール」と呼ばれるこの要件により、5年超前に取得した既存の賃貸物件は原則として従来どおりの評価方法が維持されます。

■ これまでの評価方法と節税効果 これまで貸付用不動産(賃貸マンション・アパートなど)は、相続税の計算において路線価をベースとした評価額に借地権割合・借家権割合・賃貸割合を乗じることで評価を大幅に圧縮できました。市場価格(時価)に対して相続税評価額が40〜60%程度まで下がるケースも珍しくなく、現金をそのまま保有するより大幅に相続税を減らせる手法として広く活用されてきました。

■ 改正後の評価方法:「通常の取引価額」を基準に 改正後は、貸付用不動産の評価が課税時期における「通常の取引価額」、すなわち市場での実勢価格を基準とする方式に改められます。ただし、評価の特例として「取得価額を基礎に地価変動等を考慮した価額の80%」で評価することも認められています。つまり、従来のように路線価ベースの大幅な評価圧縮は原則として認められなくなり、市場価格に近い水準での評価が求められるようになります。

■ 小口化商品への影響 近年、相続税対策として活用されてきた不動産小口化商品についても、今回の改正で大きな変更が加えられました。改正後は、取得時期を問わず課税時期における通常の取引価額に相当する金額で評価することとされました。これにより、過去に取得した小口化商品についても市場価格での評価が求められることになり、「小口化商品を活用した相続税の評価圧縮」という手法は実質的に封じられることになります。

■ 相続税への影響はどれくらいか 影響の大きさは保有物件の種類・取得時期・市場価格と評価額の乖離幅によって異なります。これまで「現金2億円を賃貸マンションに換えることで相続税評価を8,000万円程度に圧縮できた」というような事例では、改正後は評価額が市場価格の80%前後に近づくため、評価圧縮効果が大幅に縮小します。特に都市部の高額物件ほど改正の影響を強く受けることになります

■ 改正後に注意すべきポイント ①5年縛りルールと対象範囲の確認:新評価方法の対象は、相続(死亡)時または贈与時の前5年以内に対価を伴って取得または新築した一定の「貸付用不動産」です。5年超前に取得した物件は原則として従来の評価方法が維持されますが、今後新たに不動産を取得・新築する場合は5年縛りの影響を前提に計画する必要があります。②小口化商品の取扱い:取得済みの小口化商品も新評価方法の対象となるため(取得時期を問わず時価評価)、保有目的や出口戦略を改めて検討する必要があります。③「取得価額の80%」特例の活用:実勢価格より取得価額が高い場合は、この特例を活用することで評価額を抑えられるケースもあります。売買契約書・鑑定評価書等の書類を適切に保管しておくことが重要です。

■ 相続対策としての不動産活用、今後どう向き合うか 今回の改正により、「現金を不動産に換えるだけで相続税が大幅に下がる」という時代は終わりを迎えます。しかし、不動産を使った相続対策が完全になくなるわけではありません。収益性の高い物件を長期保有することで賃料収入を得ながら次世代に資産を移転するといった、本来の資産形成に根ざした活用方法は引き続き有効です。重要なのは「節税ありき」ではなく、収益性・流動性・相続後の管理可能性を総合的に判断したうえで不動産を活用することです。改正内容の詳細はまだ政省令レベルで確定していない部分もありますので、具体的な相続対策の見直しについては税理士など専門家に相談することをお勧めします。

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