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中古不動産の減価償却費の計算方法|築年数・構造別の耐用年数を税理士が解説

2026-06-02

税金・節税

中古不動産の減価償却費の計算方法|築年数・構造別の耐用年数を税理士が解説

不動産を購入した場合、建物部分は減価償却によって将来にわたって費用化します。特に中古物件は耐用年数の計算が新築と異なり、節税効果が大きい反面、ルールが複雑です。中古不動産の減価償却の考え方と計算方法を税理士が解説します。

不動産を取得すると、建物部分の取得費用を一度に全額経費にすることはできません。税法上の定めに従い、「減価償却」として毎年少しずつ費用に計上していきます。この減価償却は不動産投資における重要な経費項目であり、節税効果に直結します。特に中古物件では耐用年数の計算方法が新築と異なり、条件によっては新築より短期間で多額の減価償却費を計上できることがあります。

減価償却の基本:土地は対象外、建物のみが対象

まず最初に押さえておくべき重要な原則があります。減価償却の対象は「建物」のみであり、「土地」は減価償却できません。土地は時間が経っても価値がなくなるわけではないため、税務上の費用化が認められていません。不動産を取得した際は、取得費用を「土地」と「建物」に分けて把握することが必須です。

土地・建物の按分方法

・売買契約書に土地・建物の価格が個別に記載されている場合はその金額を使用します。 ・記載がない場合は、固定資産税評価額の比率で按分するのが一般的です。 ・消費税額から逆算する方法もあります(消費税は建物のみに課税されるため、消費税額 ÷ 税率 = 建物価格として算出できます)。

耐用年数の考え方

新築の法定耐用年数

建物の減価償却は、構造ごとに定められた「法定耐用年数」に基づいて計算します。主な構造の法定耐用年数は以下のとおりです。 ・木造・合成樹脂造:22年 ・木骨モルタル造:20年 ・軽量鉄骨造(骨格材肉厚3mm以下):19年 ・軽量鉄骨造(骨格材肉厚3mm超4mm以下):27年 ・重量鉄骨造(骨格材肉厚4mm超):34年 ・鉄筋コンクリート造(RC)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC):47年 これらは新築で取得した場合の耐用年数です。中古で取得した場合は別の計算式を使います。

中古物件の耐用年数計算:2つのパターン

中古物件を取得した場合、残りの耐用年数(使用可能期間)は以下の方法で計算します。 【パターン①:法定耐用年数の全部を経過している場合】 建物がすでに法定耐用年数を超えて経過している場合(例:木造で築22年超)は、以下の計算式を使います。 「法定耐用年数 × 20%(端数切捨て、最低2年)」 例:木造(法定耐用年数22年)で築30年の物件 → 22年 × 20% = 4年(耐用年数4年で減価償却) 【パターン②:法定耐用年数の一部を経過している場合】 法定耐用年数の範囲内の築年数の場合(例:木造で築10年)は、以下の計算式を使います。 「(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%(端数切捨て)」 例:木造(法定耐用年数22年)で築10年の物件 →(22年 − 10年)+ 10年 × 20% = 12年 + 2年 = 14年(耐用年数14年で減価償却)

減価償却費の計算方法:個人は定額法が原則

個人(不動産所得)の場合は「定額法」のみが認められています。法人の場合は定率法も選択できますが、建物については平成28年4月以降の取得分から定額法のみとなっています。

定額法の計算式

「年間減価償却費 = 建物取得価額 × 定額法の償却率」 定額法の償却率は耐用年数によって決まります。主な例を挙げます。 ・耐用年数4年:償却率 0.250 ・耐用年数14年:償却率 0.072 ・耐用年数22年:償却率 0.046 ・耐用年数47年:償却率 0.022 例:築30年の木造物件を建物価格1,000万円で取得した場合 → 耐用年数4年・償却率0.250 → 年間減価償却費 = 1,000万円 × 0.250 = 250万円/年(4年間)

中古物件の節税メリットと注意点

節税メリット

上記の例からわかるとおり、耐用年数が短い中古物件ほど、短期間に多額の減価償却費を計上できます。法定耐用年数を超えた木造物件であれば耐用年数わずか4年で建物取得価額の全額を費用化できるため、取得直後の数年間は大きな帳簿上の赤字を作り出すことができます。不動産所得の赤字は一定の場合に給与所得等との損益通算が可能ですが、土地取得に係る借入金利子など損益通算できない項目もあります。

課税の繰り延べに注意

この節税効果は「課税の繰り延べ」であることを忘れてはなりません。将来売却する際には、減価償却によって建物の帳簿価額が下がった分だけ譲渡所得が増加し、譲渡所得税が課税されます。出口(売却)まで含めたトータルの税負担を試算したうえで投資判断することが重要です。

実務上の注意点

①築年数の確認と証明 中古物件の耐用年数計算には築年数が必要です。登記簿謄本(登記事項証明書)の「表題部」に記載されている新築年月日で確認できます。

②取得価額の按分を慎重に行う 土地・建物の按分を誤ると減価償却費の計算が狂います。売買契約書に記載がない場合は固定資産税評価額の比率を使いますが、これが実態と大きく乖離する場合もあるため、税理士と相談のうえ合理的な方法で按分することが重要です。

③建物附属設備・構築物の扱い エアコン・給湯器・電気設備などの建物附属設備は建物とは別に資産計上し、別の耐用年数で減価償却します。これらを建物と一括にしてしまうと減価償却費の計算が不正確になります。

④償却の打ち切り(残存価額) 定額法では、備忘価額として1円を残した時点で償却を終了します(建物の帳簿価額がゼロにはなりません)。

まとめ

中古不動産の減価償却は、築年数・構造・建物取得価額の3要素によって毎年の経費額が決まります。特に法定耐用年数を超えた築古物件は耐用年数が短く、短期間での大きな節税効果が期待できる一方、将来の譲渡所得税への影響も大きくなります。減価償却の計算は一見シンプルに見えて、土地・建物の按分・建物附属設備の区分・耐用年数の正確な算出など、実務では専門的な判断が必要な場面が多くあります。不動産取得の際は早めに税理士に相談し、正確な減価償却計画を立てることをお勧めします。

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