
2026-06-08
税金・節税空き家活用で使える補助金・助成金とは?申請前に税理士に相談すべき理由
空き家を活用した地域創生の取り組みが各地で広がっており、リフォームや解体にかかる費用を支援する補助金・助成金制度も充実してきました。申請の際に見落としがちな「補助金にかかる税金」について、税理士の視点から解説します。
近年、空き家をリノベーションしてカフェや宿泊施設、シェアハウスとして再生させる取り組みが各地で広がっています。自治体もこうした動きを後押しするため、空き家の改修・解体・購入に対する補助金・助成金制度を数多く用意しています。ただし、補助金を受け取る際には「税金がかかる場合がある」という点が見落とされがちです。本記事では、空き家活用に使える補助金の種類と、申請前に押さえておきたい税務上のポイントを解説します。
空き家を活用した地域創生の広がり
古民家をリノベーションした宿泊施設、空き家を活用した移住者向けシェアハウス、商店街の空き店舗を改修したコミュニティスペースなど、空き家を地域資源として再生させる事例が全国で増えています。人口減少に悩む地方自治体にとって、空き家の活用は移住促進・観光振興・地域経済の活性化に直結するテーマであり、行政としても積極的に支援する姿勢を強めています。
空き家活用で使える主な補助金・助成金
空き家のリフォーム・改修に関する補助金
多くの自治体が、空き家を住居や事業用施設として活用するための改修費用の一部を補助する制度を設けています。 ・空き家バンク登録物件のリフォーム補助:自治体の空き家バンクに登録した物件の改修費用を一部補助(上限額・補助率は自治体によって異なる) ・移住者向け空き家改修補助:移住・定住を目的とした購入・改修費用への補助 ・子育て世帯・三世代同居向け改修補助:子育て世帯の住環境整備を目的とした改修費用の補助
空き家の解体(除却)に関する補助金
老朽化が進み活用が難しい空き家については、解体費用を補助する制度を設けている自治体も多くあります。「特定空家」に指定された住宅の解体を促進する目的で実施されているケースが一般的です。
空き家バンク・移住支援に関する助成金
空き家を売却・賃貸したい所有者と、空き家を探している移住希望者をマッチングする「空き家バンク」制度を設けている自治体では、登録や成約に対する奨励金、引っ越し費用の助成などをあわせて実施している例もあります。
国の支援制度との組み合わせ
自治体独自の補助金だけでなく、国土交通省や中小企業庁などが実施する補助事業(地域の空き家対策や創業支援に関連するもの)と組み合わせて活用できるケースもあります。事業として空き家を再生する場合は、自治体の窓口だけでなく、国の支援制度もあわせて確認することをお勧めします。
税理士に相談すべき理由:補助金には税金がかかることがある
補助金は原則「収入」として課税対象になる
補助金・助成金は「もらえてうれしいお金」というイメージが強いですが、税務上は事業者が受け取る補助金は原則として収入(益金・総収入金額)に算入され、所得税・法人税の課税対象になります。個人が自宅の改修のために受け取る補助金は非課税となるケースが多い一方、事業として空き家を活用する場合(賃貸経営・店舗運営など)は課税対象となるのが原則である点に注意が必要です。
補助金を受け取った年に税負担が急増することがある
例えば「改修費500万円のうち300万円が補助金で賄われた」というケースを考えてみます。改修費用は建物の資本的支出として減価償却により数年〜数十年かけて経費化される一方、補助金は受け取った年に一括で収入計上されるのが原則です。 そのため、補助金を受け取った年だけ税負担が大きくなり、資金繰りを圧迫することがあります。「補助金をもらえたのに、その分の税金で持っていかれた」とならないよう、事前にシミュレーションしておくことが重要です。
圧縮記帳という制度もある
一定の要件を満たす国庫補助金等については、「圧縮記帳」という制度を使うことで、補助金を受け取った年の税負担を将来に繰り延べることができます。圧縮記帳は適用できる補助金の種類や会計処理の方法が細かく定められており、適用の可否や処理方法の判断には専門的な知識が必要です。
補助金の交付時期と工事費用の支払時期のズレに注意
補助金は「工事完了後に交付される」ケースが一般的です。そのため、工事費用を立て替える資金繰りや、補助金が交付される年度と経費計上する年度のズレが生じることがあります。資金計画と税務処理の両面から、事前に整理しておくことが望ましいでしょう。
申請前に確認しておきたいポイント
・補助金の対象となる事業内容・要件(自宅利用か事業利用かによって税務上の取り扱いが変わります) ・補助金の課税区分(課税対象か非課税か、圧縮記帳の対象になるか) ・減価償却・必要経費との関係(補助金を控除した後の金額を取得価額とする処理が必要な場合があります) ・資金繰りのシミュレーション(補助金交付のタイミングと納税のタイミング) これらを事前に把握しておくことで、「想定外の税負担に慌てる」という事態を避けることができます。
まとめ
空き家を活用した地域創生の取り組みは今後も広がっていくと見られ、それを後押しする補助金・助成金制度も充実してきています。一方で、補助金を受け取ること自体が新たな税務上の論点を生むことは意外と知られていません。 空き家の改修・活用にあたって補助金の活用を検討している方は、申請前の段階で税理士に相談し、税負担まで含めたトータルの資金計画を立てることをお勧めします。


