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相続税がかかる財産・かからない財産とは?課税・非課税の一覧と注意点を税理士が解説

2026-07-10

税金・節税

相続税がかかる財産・かからない財産とは?課税・非課税の一覧と注意点を税理士が解説

相続税は「持っているすべての財産」にかかるわけではありません。法律上の非課税財産・非課税枠が設けられている財産・逆に見落としがちな課税財産など、相続税の課税対象を整理してリストで解説します。税理士が注意すべきポイントもあわせて説明します。

「相続税はすべての財産にかかるのか」という質問はよくあります。実際には、相続税法上明確に非課税とされている財産一定の非課税枠が設けられている財産があります。一方で、「これは関係ないだろう」と思っていたものが課税対象になるケースもあります。本記事では、課税される財産・されない財産を整理し、実務上の注意点を解説します。

相続税が課税される財産の主な一覧

財産の種類具体例備考
土地宅地・農地・山林・借地権路線価または倍率方式で評価
建物自宅・賃貸不動産・建物附属設備固定資産税評価額で評価
預貯金普通預金・定期預金・外貨預金相続開始日現在の残高
有価証券上場株式・投資信託・債券・非上場株式種類ごとに評価方法が異なる
現金手元現金・タンス預金申告漏れになりやすい
生命保険解約返戻金契約者・被保険者等の関係により評価対象となる場合死亡保険金とは別に評価・要件の確認が必要
ゴルフ・リゾート会員権取引相場があるもの評価通達に基づき評価
自動車・貴金属・美術品車・宝飾品・絵画・骨董品時価評価
貸付金・売掛金個人間貸付・事業上の売掛金回収見込みがあるものは課税
事業用資産機械・設備・棚卸資産・商品個人事業主の事業財産
海外財産海外不動産・海外預金・外国株式日本居住者は国内外問わず課税

みなし相続財産:受け取り方によって課税される財産

被相続人が直接所有していたわけではないが、相続税法上は相続財産とみなして課税される財産があります。見落としが特に多いカテゴリです。

死亡保険金(生命保険金)

被相続人が保険料を負担していた生命保険から、相続人が受け取る死亡保険金はみなし相続財産として課税対象になります。ただし、非課税枠として「500万円×法定相続人の数」が設けられています。例えば法定相続人が3人であれば1,500万円まで非課税となり、超過分が課税対象です。 注意が必要なのは保険金の課税区分で、契約者・被保険者・受取人の組み合わせによって相続税・所得税・贈与税のいずれかが課税されます。「被相続人が契約者兼被保険者・相続人が受取人」の場合が相続税の対象です。

死亡退職金・弔慰金

被相続人の死亡後に雇用先から支給される退職金・功労金もみなし相続財産として課税対象となります。死亡保険金と同様に「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。 弔慰金については、業務上の死亡の場合は最終月額報酬の36ヶ月分、業務外の死亡の場合は6ヶ月分を超える部分が退職手当金等として課税対象になります。

相続税が非課税となる財産(相続税法12条)

財産の種類内容根拠
墓所・霊廟墓地・墓石・納骨堂など相続税法12条1項2号
祭具・礼拝用具仏壇・位牌・神棚など日常礼拝の用に供しているもの相続税法12条1項2号
国・地方公共団体への寄付財産相続税申告期限までに寄付したもの相続税法12条1項3号
特定公益法人への寄付財産一定の要件を満たす寄付相続税法12条1項3号
死亡保険金の非課税枠500万円×法定相続人の数相続税法12条1項5号
死亡退職金の非課税枠500万円×法定相続人の数相続税法12条1項6号
心身障害者共済制度の給付金受給権一定の障害者扶養共済制度相続税法12条1項4号

非課税となるのはあくまで日常礼拝の用に供しているものに限られます。同じ仏壇・骨董品・貴金属であっても、投資目的や商品として保有しているものは非課税にはなりません。「仏壇だから」という名称だけで判断せず、実際の使用目的・保有実態を確認することが重要です。

相続税がかからない「その他の財産」

遺族年金・障害年金

厚生年金・国民年金等の遺族給付(遺族基礎年金・遺族厚生年金)や障害年金は、相続税の課税対象外です。これらは年金制度上の給付であり、相続財産ではありません。 「未支給年金」(被相続人が受け取れないまま死亡した時点の未支給分)についても、法律上は相続財産ではなく、遺族固有の権利として支給されるものであるため、相続税の課税対象にはなりません。ただし、未支給年金を受け取った遺族には所得税(一時所得)の課税関係が生じる場合があります。「未払い年金=相続税がかかる」とは一概に言えないため、税務上の取り扱いを個別に確認することをお勧めします。

香典・花輪代

社会通念上相当と認められる範囲の香典・花輪代・弔慰金は相続税の課税対象外です。ただし、著しく高額な場合は課税対象となる可能性があります。

実は課税される「落とし穴」財産

名義預金・名義株式

子や孫の名義の預貯金口座であっても、実質的に被相続人が管理・支配していた場合は相続財産として課税対象となります(名義預金)。贈与の要件(贈与の合意・資金移転・受贈者による管理)を満たしていない場合、いくら子の名義でも被相続人の財産とみなされます。相続税の税務調査では名義預金の有無が重点的に確認されます。

タンス預金・現金

自宅に保管している現金(タンス預金)も申告が必要です。税務調査では被相続人の過去の収入・出金履歴と相続財産の現金額が照合されることがあり、申告漏れが発覚するケースがあります。

海外財産

日本に住所があるケースでは原則として、国内外を問わずすべての財産が相続税の課税対象となります。海外の不動産・預金・株式なども申告が必要です。なお、相続税法上は「居住無制限納税義務者」「制限納税義務者」等の区分によって課税範囲が決まるため、海外に長期居住している方や外国籍の方が関係する相続では、個別の判定が必要です。近年は国際的な情報交換制度が整備されており、海外財産の把握が以前より容易になっています。

生前贈与加算(段階的に最長7年へ拡大)

令和5年度税制改正により、相続開始前の生前贈与の持ち戻し期間が延長されました。令和6年(2024年)1月1日以後の贈与から段階的に対象期間が拡大し、最終的には相続開始前7年以内の贈与が加算対象となります。「毎年110万円の範囲で贈与していたから大丈夫」という場合でも、この期間内の贈与は相続税の計算上持ち戻される点に注意が必要です。なお、加算対象となった贈与について贈与税を支払っていた場合は、相続税から控除されます。

評価額が大きく下がる特例(非課税ではなく評価減)

非課税ではありませんが、適用することで課税価格を大幅に圧縮できる重要な特例があります。 小規模宅地等の特例(措法69条の4): 被相続人が居住していた土地(特定居住用宅地等)は、要件を満たせば評価額を最大80%減額できます。例えば路線価評価で5,000万円の自宅土地が1,000万円の評価になります。事業用宅地や賃貸不動産の土地についても要件に応じた減額があります。 この特例は申告によってはじめて適用されるため、特例適用後の課税価格が基礎控除以下になる場合でも申告が必要です。

税理士からのアドバイス

「うちには大した財産がないから申告は不要だろう」と思っていても、名義預金・生命保険金・退職金・生前贈与の持ち戻しなどを含めると課税価格が基礎控除を超えるケースは少なくありません。逆に、正しく非課税枠や特例を適用すれば申告が不要になるケースもあります。 財産の洗い出しはすべての口座・保険契約・有価証券・不動産・借入金を一覧化することから始まります。特に名義預金や海外財産は見落とされやすいため、被相続人が関与していた金融機関・証券会社をすべて確認することが重要です。課税・非課税の判定は財産の種類だけでなく契約内容・保有目的・実態によって変わるため、迷った場合は税理士への相談をお勧めします。

まとめ

相続税の課税対象は、本来の相続財産(不動産・預貯金・有価証券等)+みなし相続財産(死亡保険金・退職金)+生前贈与加算(7年以内)から成ります。一方で墓地・仏壇・遺族年金・死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人数)・死亡退職金の非課税枠は課税対象から除かれます。名義預金・タンス預金・海外財産は申告漏れになりやすい代表例です。小規模宅地等の特例を活用することで課税価格を大幅に圧縮できる場合もあります。財産の全体像を正確に把握し、早めに税理士に相談することが適正申告への近道です。

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