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不動産投資シミュレーション|新築ワンルームと築古中古を税理士が徹底比較

2026-07-07

物件評価・購入

不動産投資シミュレーション|新築ワンルームと築古中古を税理士が徹底比較

「不動産投資は実際どのくらい儲かるのか」を知りたい方向けに、①東京23区の新築ワンルームマンション、②大阪市内の築古中古マンションの2パターンで現実的なシミュレーションを比較します。月次収支・節税効果・デッドクロス・出口戦略まで税理士が徹底解説します。

不動産投資のシミュレーションは、条件次第で見え方が大きく変わります。本記事では、「節税・長期資産保有型」と「キャッシュフロー重視・早期完済型」という性格の異なる2つのパターンを、現実的な数字で比較します。月次収支だけでなく、デッドクロスや売却時の手残りまで含めたトータルの損益を確認することが重要です。どちらが優れているかではなく、自分の目的や資金状況に合ったケースを選ぶための判断材料としてご活用ください。

2パターンの前提条件

項目ケース①新築ワンルームケース②築古中古
物件東京23区・RC造新築25㎡大阪市内・RC造築25年25㎡
物件価格3,500万円600万円
自己資金500万円(頭金350万+諸費用150万)220万円(頭金160万+諸費用60万)
借入額3,000万円440万円
金利・返済期間年1.8%(変動)・35年年2.5%(変動)・15年
月返済額約96,000円約29,400円
月家賃収入105,000円52,000円
表面利回り約3.6%約10.4%

ケース①:新築ワンルームマンション(東京23区)

月次収支シミュレーション

月間収入・支出の内訳は以下の通りです。 家賃収入105,000円に対し、ローン返済96,000円・管理費修繕積立金18,000円・管理委託費5,250円・固定資産税等8,000円・保険料1,250円・空室損(5%)5,250円を合計した支出は133,750円となり、月次収支は約-28,750円(約-2.9万円)となります。

減価償却による節税効果

新築RC造の場合、建物部分(約2,300万円)を法定耐用年数47年で償却すると、年間約49万円の減価償却費が計上できます(一例)。 給与所得などと合わせて確定申告することで不動産所得の赤字を損益通算できます。年間の不動産所得は、家賃収入126万円-ローン利息約54万円-管理費等約39万円-減価償却費49万円=約-16万円の赤字となります。実効税率30%の方であれば年間約5万円(月約4,200円)の節税効果が期待できます。 節税はキャッシュアウトの一部を税負担軽減で補う効果であり、投資そのものが利益になることを意味するものではありません。節税効果を考慮しても月次収支の赤字(約-2.9万円)は解消されず、毎月の持ち出しが続く点は正確に認識しておく必要があります。

ケース①の特徴・向いている方

月次収支はマイナスが継続しますが、毎月の負担を給与収入でカバーしながら、東京都心の不動産という資産を長期的に保有することを目的とした投資スタイルです。 団体信用生命保険(団信)については、被保険者が死亡・高度障害状態となった場合にローン残高が弁済される制度です。不動産そのものの収益性とは切り分けて考える必要があります。 毎月の赤字をカバーできる給与収入があり、都心部での資産形成を長期視点で目指す方に向いています。

ケース②:築古中古マンション(大阪市内・RC造築25年)

月次収支シミュレーション

月間収入・支出の内訳は以下の通りです。 家賃収入52,000円に対し、ローン返済29,400円・管理費修繕積立金7,000円・管理委託費2,600円・修繕費自己積立4,000円(将来の設備更新に備えた自己積立であり、管理組合の修繕積立金とは別)・固定資産税等1,800円・保険料1,200円を合計した支出は46,000円となり、満室時の月次収支は約+6,000円となります。空室率8%を考慮した実質家賃収入(47,840円)で計算すると、月次収支は約+1,840円(ほぼプラス)です。

15年完済後の収益力

最大の特徴は15年でローンを完済できる点です。完済後は月々の返済がなくなるため、現在の家賃水準が維持された場合、空室8%考慮でも月次収支は約+31,000円(年間約37万円)と大幅にプラス転換します。完済に必要な自己資金はケース①の半分以下(220万円)であり、少ない元手で早期にキャッシュフローを安定させられるのが強みです。

ケース②の特徴・向いている方

月次収支を早期からプラスに保ちながら、15年後に月+3万円超のキャッシュフロー源泉を作ることを目的とした投資スタイルです。一方で、築年数が経過しているため、大規模修繕・設備交換のリスクが高く、修繕費の自己積立を多めに見込んでおくことが重要です。自己資金が限られているが早めに収益化したい方、将来の安定収入を作りたい方に向いています。

2パターンの比較まとめ

比較項目ケース①新築ワンルームケース②築古中古
月次収支(通常時)約-2.9万円約+1,800円
節税効果(年間)約5万円/年(月約4,200円)少ない(建物価値が低い)
完済後の月次収支約+7万円(35年後)約+3.1万円(15年後・家賃水準維持の場合)
必要自己資金500万円220万円
主なリスク家賃・資産価値の下落修繕費・空室率の上昇
向いている方都心資産保有を長期視点で目指す方少ない元手で早期CF重視

デッドクロスとは何か

不動産投資においてデッドクロスとは、「ローンの元金返済額(現金支出だが経費にならない)が減価償却費(経費になるが現金支出はない)を上回り、税務上の利益が発生しているにもかかわらず手元資金が不足する状態」を指します。 ケース①で確認すると、年間の元金返済額は初年度で約61万円(月返済96,000円×12ヶ月-利息54万円)であり、減価償却費49万円をすでに上回っています。この状態では、税務上は利益が出ているように見えても、実際の現金収支は厳しい状況が続きます。 特にリスクが高まるのは、減価償却期間(47年)が終了した後です。減価償却による経費計上がゼロになるため、それまで計上していた赤字が黒字化し、所得税・住民税の負担が急増します。ローン返済中の場合は「税金を払いながら元金も返済する」という二重の現金流出が発生するため、キャッシュフロー計画に織り込んでおく必要があります。

出口戦略:20年後・売却シミュレーション

ケース①:20年後に売却した場合

購入から20年後に売却するケースを試算します。 残債(20年後): 当初3,000万円・35年・年1.8%のローンの残高は約1,530万円 売却価格(想定): 東京23区の立地・築20年で2,000万〜2,500万円(中央値2,200万円と仮定) 建物簿価(20年後): 建物取得費2,300万円÷47年×(47年-20年)=約1,321万円 取得費の計算: 建物簿価1,321万円+土地1,200万円=2,521万円 譲渡所得: 売却価格2,200万円-取得費2,521万円-譲渡費用80万円=約-401万円(譲渡損失) 譲渡損失となる場合、長期譲渡所得への課税は発生しません。手残り(売却収入-残債返済-諸費用): 2,200万円-1,530万円-80万円=約590万円となります。ただし物件価格が大きく下落した場合(例:1,500万円売却)には残債を返済しても大幅なマイナスとなるリスクがあります。売却価格は築年数・立地・市況によって大きく変動するため、複数のシナリオで検討することが重要です。

ケース②:売却より保有継続が有利なケースが多い

ケース②は15年でローンを完済するため、完済後は月+3.1万円(現在の家賃水準が維持された場合)の安定収入が見込めます。一方、購入から15年後(築40年)に売却を試みた場合、大阪市内の築古RC造物件の売却価格は150万〜300万円程度と見込まれ、売却益は薄くなります。取得費(購入価格600万円)に対して売却価格が下回るケースでは譲渡損失となり課税は発生しませんが、手残りも小さくなります。 ケース②における最善の出口は、完済後も保有を継続して毎月の家賃収入を得ることであるケースが多く、売却を急がないことが収益最大化につながる場合があります。

税理士からのアドバイス

どちらのケースも、「月次収支だけ」あるいは「利回りだけ」を見て判断することは危険です。不動産投資の損益は、①毎月の現金収支・②税務上の収支(減価償却・デッドクロス)・③売却時の手残り(出口)の3つをトータルで判断する必要があります。 特に節税効果については「赤字があるから節税できる」という考え方が先行しがちですが、節税効果(年5万円程度)は毎月の現金持ち出し(年約35万円)を大幅に下回ります。節税はあくまでもキャッシュアウトを一部補う効果に過ぎず、投資自体のトータル収益で判断することが不可欠です。投資前にシミュレーションの前提を細かく確認し、税理士に相談しながら計画を立てることをお勧めします。

まとめ

新築ワンルーム(ケース①)は月次収支マイナスでも都心部資産の長期保有を目的とする戦略です。節税効果は年約5万円と限定的であり、毎月の赤字補填には給与収入が必要です。築古中古(ケース②)は少ない自己資金でキャッシュフローをプラスに保ち、早期完済後に安定収益を得る戦略ですが、売却時の手残りは少なく保有継続が有利です。どちらの場合も、デッドクロスや出口戦略を含めた長期のトータル収益で判断することが重要です。

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