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それって贈与になる?ならない?不動産でうっかり贈与税を払わないための注意点を税理士が解説

2026-07-08

税金・節税

それって贈与になる?ならない?不動産でうっかり贈与税を払わないための注意点を税理士が解説

「そんなつもりじゃなかったのに贈与税がかかった」というケースは意外と多いものです。親のローン肩代わり・格安売買・共有名義のズレなど、不動産に関連するうっかり贈与の落とし穴と、逆に贈与にならないケースを税理士が具体例で解説します。

贈与税は「もらった側」が申告・納税する税金ですが、「贈与したつもりがない」のに贈与とみなされてしまうケースが不動産の場面では少なくありません。親族間の資金援助・共同購入・名義の設定など、よかれと思ってした行為が後から税務調査で問題になることがあります。本記事では、税理士の立場から「うっかり贈与になるケース」「贈与にならないケース」を整理します。

贈与税の基本的な仕組み

贈与税は、個人から無償で財産を受け取った場合に受贈者(もらった側)に課税されます。年間の基礎控除額は110万円であり、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計が110万円以下であれば、申告・納税は不要です。問題になるのは、「贈与の認識がないまま110万円を超える財産移転が行われている」場合です。

うっかり贈与になるケース①:親が子のローンを肩代わり

子がマンションを購入し、親が毎月のローン返済額を実質的に負担しているケースでは、贈与税の問題が生じる可能性があります。 この場合の法律構成には主に2つのパターンがあります。ひとつは債務免除(親が子の債務を肩代わりする形)、もうひとつは返済資金の贈与(親が子に資金を渡し、子がローンを返済する形)です。いずれの場合も結果的に資産移転が生じる点は共通ですが、親が子に返済資金を贈与し、その資金で子がローンを返済していると認められる場合には、その贈与額が贈与税の対象となります。 例えば月10万円(年120万円)を親が資金提供している場合、年間120万円の贈与に対して基礎控除110万円を差し引いた課税価格は10万円となります(実際の贈与税額は課税価格に税率を乗じて計算します)。 対策: 親が子に資金提供する場合は贈与契約書を作成したうえで年間110万円以内に収めるか、親が共同借入人となるなど取引の実態に合わせた整理をすることが重要です。

うっかり贈与になるケース②:親族間の格安売却(低廉譲渡・みなし贈与)

「親から子へ土地を相場より大幅に安く売った」というケースでは、時価と売買価格の差額が贈与とみなされる場合があります(相続税法7条)。これを「みなし贈与」といいます。 例えば時価5,000万円の土地を1,000万円で親から子に売却した場合、差額の4,000万円相当が贈与と認定される可能性があります。不動産の時価は路線価や固定資産税評価額ではなく、売買実例価格(市場価格)が基準となる点に注意が必要です。 「著しく低い価額」について法令上・国税庁の通達上、明確な数値基準は定められていません。明確な基準はありませんが、著しく低い価額での売買の場合、時価との差額について贈与と認定される可能性があります。親族間売買を行う場合は、不動産鑑定評価や価格の合理性を事前に確認することをお勧めします。

うっかり贈与になるケース③:共有名義と出資割合のズレ

夫婦や親子で共同購入する場合、持分割合と実際の出資割合が一致していないと差額分が贈与とみなされます。 例えば夫婦で4,000万円の住宅を購入し、夫が3,200万円・妻が800万円を負担したにもかかわらず、持分を50:50(各2,000万円相当)にした場合、妻が夫から1,200万円分の贈与を受けたとみなされます(3,200万円×50%-800万円)。 対策: 持分割合は実際の出資割合(頭金・ローン負担)に応じて設定することが原則です。住宅購入時に持分設定を誤るケースは非常に多いため、購入前に確認することをお勧めします。

うっかり贈与になるケース④:二世帯住宅・リフォーム費用の負担

親名義の建物を子がリフォームした場合、建物の価値を高める資本的支出に該当するリフォームについては、その費用相当額が親への贈与とみなされるケースがあります。建物の所有者が親であるため、建物価値を増加させる工事は親の財産を増加させることになるからです。 一方、クロスの張替えや給湯器の交換など建物価値をほとんど増加させない修繕費に相当するものは、贈与の問題が生じにくいとされています。問題になりやすいのは増築・全面改装など明らかに資産価値を高める工事です。 同様に、親子で共有する二世帯住宅において、子が多くの費用を負担したにもかかわらず親の持分割合が大きい場合も、差額部分が問題になることがあります。 対策: 親名義建物に資本的支出を伴うリフォームを子が行う場合は、費用負担に見合った持分取得(増築登記など)を検討することが重要です。

贈与にならないケース①:親の土地を無償で借りて家を建てた(使用貸借)

親名義の土地を無償で借りて子が建物を建てる「使用貸借」は、原則として贈与税の対象にはなりません。使用貸借の場合、相続税評価上、借地権は認定されない扱いとなるため、借地権相当額の贈与とはみなされません(相基通9-10)。 親の土地に子が家を建てるケースは実務上非常に多く、使用貸借である限りは贈与税は不要です。ただし、将来の相続において親の土地は相続財産に含まれるため、相続税対策の観点からは別途検討が必要です。

贈与にならないケース②:生活費・教育費の仕送り

扶養義務者(親・祖父母など)から生活費や教育費として通常必要と認められる財産の贈与は、贈与税が非課税です(相続税法21条の3)。子の学費・生活費を親が負担することは、ここに該当する場合が多いです。 ただし、「生活費・教育費名目で渡したが実際には使わず貯蓄していた」「一括で大きな金額を渡した」場合は非課税とならない可能性があります。毎月の生活実態に合わせた金額をその都度送金することが重要です。

名義預金には特に注意

子や孫名義の預金口座に親・祖父母がお金を入れている場合、実質的な管理者が親・祖父母であれば贈与は成立していないとみなされ、相続財産として課税されることがあります(いわゆる「名義預金」)。 贈与が成立するためには、①贈与契約の合意(贈与する・受け取るという意思の合致)、②財産の引渡し(実際の資金移動)、③受贈者自身による管理・支配の三要件が必要です。子・孫が通帳・印鑑を自分で管理していない場合、税務調査で名義預金として認定されるリスクがあります。 不動産の場合も同様で、名義だけを子にしていても親が実質的に管理・使用しているケースは贈与の成立が否定されることがあります。

知っておきたい非課税特例

住宅取得等資金の贈与の非課税特例

直系尊属(父母・祖父母など)から住宅取得・新築・増改築のための資金を贈与された場合、一定額が非課税となる特例があります。本特例には適用期限が設けられており、適用年度・住宅の省エネ性能等によって非課税限度額が異なります。利用を検討する際は、最新の適用期限と要件を必ず贈与前に確認してください。期限切れ後に贈与を受けた場合は特例が適用されません。

配偶者への居住用不動産の贈与(おしどり贈与)

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産または居住用不動産の取得資金を贈与した場合、基礎控除110万円に加えて最大2,000万円まで贈与税が非課税となる特例があります(相続税法21条の6)。ただし要件が細かいため、適用前に確認が必要です。

実務で最も多い相談:夫名義のローンを妻の口座から返済している

実際の相談では、「住宅ローンは夫名義だが、毎月の返済を妻の口座から引き落としている」というケースが非常に多く見られます。夫婦だから問題ないと思われがちですが、妻がローンを実質的に返済していることは、妻から夫への資金贈与(または夫の債務を妻が履行していること)と捉えられる可能性があります。出資割合や返済実態によっては贈与税の検討が必要になる場合があるため、住宅購入時に返済口座と持分設定を合わせて整理しておくことが重要です。

税理士からのアドバイス

贈与税の問題が表面化するのは、多くの場合相続税の申告や税務調査のタイミングです。「贈与したつもりはなかった」では通らないケースも多く、追徴税額に加えて延滞税・加算税が課されることもあります。 親族間で不動産の売買・贈与・共同購入を行う際には、事前に「持分割合と出資割合が一致しているか」「売買価格が時価と大きく乖離していないか」を確認することが最大の対策です。迷ったときは取引前に税理士に相談することをお勧めします。

まとめ

不動産にまつわる「うっかり贈与」の主な落とし穴は、①親のローン肩代わり、②格安での親族間売買(みなし贈与)、③共有名義と出資割合のズレ、④名義預金・名義不動産です。一方、使用貸借や生活費・教育費の仕送りは原則として贈与にはなりません。年間110万円の基礎控除と各種非課税特例を正しく活用しながら、「知らなかった」では済まない贈与税のリスクを事前に排除することが大切です。

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